OpenAIが開発した音声認識モデルであるWhisperを使って音声認識を試してみました。
試した環境は以下です。
- MacBook Air M1, 2020
- macOS Ventura 13.2
- Python 3.10.9(当初はPython3.11で試しましたが動作しませんでした。2023年5月2日現在)
- pip 22.3.1
1. Whisperをインストールする
Whisperはpip経由でinstallできます。
pip install -U openai-whisper
注意点として、Pythonバージョンは3.8-3.10でなければなりません。
2. ffmpegをインストールする
次にffmpegをインストールします。
ffmpegは音声の変換・再生等に使用するソフトウェアです。
macOSの場合はHomebrewを使ってインストールできます。
brew install ffmpeg
3. ffmpeg-pythonをインストールする
さらにffmpeg-pythonをインストールします。
これをインストールすることでPythonを経由してffmpegを使えるようになります。
こちらはpipでインストールします。
pip install ffmpeg-python
4. 音声ファイルを用意する
Whisperに認識させる音声ファイルを用意します。
事前に音声ファイルを用意して、コードと同じディレクトリに入れておきましょう。
サンプルとして「隣の客はよく柿食う客だ」という機械音声を用意しました。
手元に音声ファイルがなければダウンロードして使ってください。
↓音声ファイル(クリックしてダウンロードできます)
5. Whisperに音声認識させる
音声ファイルを用意できたら、以下のコードを実行しましょう。
import whisper
model = whisper.load_model("base") # モデルを読み込む
result = model.transcribe("speech.mp3") # 音声ファイルを指定する
print(result["text"]) # 認識結果を出力
1行目でwhisperをimportします。
2行目でWhisperのモデルを読み込みます。
モデルがローカルになければ自動的にダウンロードされます。
load_modelの引数にはモデルの種類を指定できます。
モデルは5種類あり「large」「medium」「small」「base」「tiny」の順に性能が良く、性能が良いものほどモデルのサイズも大きくなります。
前述したサンプルの音声「隣の客はよく柿食う客だ」について5種類の音声認識を試したところ、以下の結果になりました(カッコ内の数字は簡易計測した実行時間)。
- large → 隣の客はよくかき食う客だ(130秒)
- medium → 隣の客はよくかき食う客だ(62秒)
- small → 隣の客はよく書き空客だ(17秒)
- base → 隣の曲はよく書き空曲だ。(5秒)
- tiny → 隣の客はよく書きく客だ(3秒)
largeとmediumはどちらも高精度に文字に起こせています(柿は変換できていませんが)。
smallは音声認識はできていそうですが変換が間違っています。
baseとtinyは音声認識の段階で精度が低そうです。
CPUを使用しているため実行時間はかなり遅めです。
CPUの環境で利用する場合、small〜largeのモデルはリアルタイムでは使えなさそうです。
baseとtinyは実行時間は悪くないため、もう少し性能を評価したいところです。
今回使ったサンプルは「隣の客はよく柿食う客だ」という、やや特殊な例だったため、少し分かりやすい日本語でも試しました。
「明日の天気は晴れのち曇りです」という機械音声のファイルです。
↓音声ファイル(クリックしてダウンロードできます)
結果は次のようになりました。
- base → 明日の天気は晴れのチクモリです。(5秒)
- tiny → 明日の天気は晴れのチクモリです(3秒)
単語の変換は間違っていますが「明日の天気は」くらいは正しく認識できています。
3秒程度でこのくらいの音声認識ができるなら、自作のスマートスピーカーくらいには使えるかもしれません。
使用用途によって上手にモデルを使い分ける必要がありそうです。
インストール時のエラーメッセージへの対応方法
Whisperを使用するまでの過程でいくつかエラーに対処したので、最後に対応方法をメモとして残しておきます。
1. ModuleNotFoundError: No module named ‘ffmpeg’
ffmpegがない場合に発生するエラーです。
pipコマンドでffmpeg-pythonをインストールします。
pip install ffmpeg-python
また、Homebrewでffmpegをインストールしていない場合は以下も実行しましょう。
brew install ffmpeg
2. AttributeError: module ‘ffmpeg’ has no attribute ‘input’
pipで「ffmpeg-python」ではなく「ffmpeg」をインストールすると発生します。
この場合は、まず下記の2つのコマンドを実行します。
pip uninstall ffmpeg
pip uninstall ffmpeg-python
その後、pipでffmpeg-pythonだけをインストールします。
pip install ffmpeg-python
3. FileNotFoundError: [Errno 2] No such file or directory: ‘ffmpeg’
ffmpeg-pythonはインストールできているものの、ffmpeg自体をインストールできていないパターンです。
以下を実行してffmpegをインストールします。
brew install ffmpeg
macOS以外の方は公式のリポジトリのREADMEを参考に、自分の環境に合わせたコマンドを実行しましょう。
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